
1 参考書
2 「五竜陣」の来歴
五竜陣誕生の背景
五竜陣は、ある一人の人生の中で、静かに、しかし必然的に生まれたゲームである。
作者・内橋俊浩は、富山県宇奈月町に生まれた。
黒部川の流れと五竜岳を望むこの地の風景は、後に、「五竜陣」に登場する竜の世界観の原風景となった。
若き日、防衛大学校で論理的思考の基礎を身につけた後、海上自衛隊に入隊。
潜水艦乗組員として長く勤務し、やがて艦長として艦を率いる立場に就いた。
そこでは、限られた情報と空間の中で、全体を見渡し、最善の一手を選び続ける思考が常に求められた。
しかし、人生の転機は突然訪れる。
心筋梗塞による長期入院。
身体の自由を奪われ、ひとり病室で過ごす時間の中、その苦痛から逃れるため、作者は無意識のうちに「考える遊び」を始めていた。
目に入るのは、病室の天井のみ。
天井のタイルを、頭の中で組み合わせる。
つなぎ、曲げ、配置を変え、全体の形を想像する。
その単純な思考の反復が、やがて「コマをつなぎ、陣を組む」という発想へと変わっていった。
こうして生まれたのが、コマ連接式アブストラクトゲーム「五竜陣」である。
五竜陣では、五匹の竜がそれぞれ陣形を組み、相手陣へと進攻する。
単に前へ進むだけでは勝てない。
守り、妨害し、そして決断の一手を見極めなければならない。
それは、潜水艦という閉ざされた世界で培われた戦術と戦略、そして冷静な判断の積み重ねそのものだった。
平成8年、防衛庁退職後、構想は形となり、五竜陣はボードゲームとして完成する。
翌年にグッドトイに認定された五竜陣は、東京おもちゃショーを通じて多くの人の手に渡った。
時代の流れの中で製造は止まったが、五竜陣は消えなかった。
30年の時を経て、通信対戦盤、そして現在のデジタル展開へと姿を変え、
今もなお、人と人を向き合わせる「思考の場」として生き続けている。
五竜陣は、勝敗を競うだけのゲームではない。
世代を越え、言葉を越え、人と人が静かに向き合い、共に考え、絆を育むためのツールなのである。
その原点は、ひとり苦痛と闘う病室の天井から始まった――。
作者の略歴
1942年
富山県宇奈月町に生まれる
―― 黒部川と五竜岳の風景が五竜陣の原風景となる
1960年代
防衛大学校で電気工学を学び、海上自衛隊へ
1970〜80年代
潜水艦勤務・艦長の経験を通じ、戦術・戦略的思考を体得
1987年
心筋梗塞による長期入院
―― 天井のタイルを組み合わせる思考が五竜陣発想の原点に
1996年
五竜陣をアブストラクト・ボードゲームとして完成
1997年
グッドトイに認定
東京おもちゃショーに出展
2000〜20年代
五竜陣の普及活動休止
2026年
五竜陣の普及活動再開
通信対戦盤・デジタル展開へ継承
オンライン対戦盤の開発に着手


