「五竜陣」の由来
むかし、むかし──。
黒部の深い峡谷には、水を自在に操る水竜が棲んでおりました。
その遥か上、そびえ立つ後立山の峰々には、炎をまとった火竜が身をひそめていたのです。
二匹の竜は、狭き地上の暮らしに飽きはじめ、いつの日か天へ昇り、神々と共に過ごすことを夢みていました。
ある日のこと──。
天の神の使いが姿を現し、厳かな声で告げます。
「天上に、ただひとつ空席ができた。そこに住むことを許そう。
だが、迎え入れられるのは一匹のみ。
ゆえに──先に昇りついた竜だけが選ばれるであろう。」
その言葉を聞くや、二匹の竜は一斉に空へ駆けのぼります。
火竜は炎そのものとなって舞い上がり、たちまち水竜を引き離していきます。
火竜が天に届こうとしたその瞬間──追いつけぬと悟った水竜は、大海から水の力を呼び覚まし、巨大な竜巻を巻き起こしました。
吹き荒れる風に火竜の炎は吹き散らされ、その隙をついて水竜は竜巻に乗り、一気に天上へと駆け上がったのです。
こうして、天に迎え入れられたのは水竜でした。
一方、地に残された火竜は後立山連峰の五竜岳に棲みつき、今もなお夕暮れになると山肌を真っ赤に染め、天を焦がすように燃え盛ります。
水竜はというと、天上から地上を見守り、火竜の炎が強まりすぎぬよう、ときおり雨となって後立山へ降り注ぎます。
その雨は黒部峡谷の川となって流れ、やがて海へ──そして竜巻となって再び天へ還る。
この果てしない循環は、今も絶えることなく繰り返されているのです。
──この竜伝説こそが、「五竜陣(Pentragon)」のはじまり。
五竜岳から天へ燃え上がろうとする火竜、それを抑え込もうと天から降りかかる水竜。
──五(Penta)匹の竜(Dragon)が陣を組み、相手の陣へ深く踏み入る戦い。
そこから「五竜陣(Pentragon)」と名付けられました。
「五竜陣」の願い
囲碁や将棋、チェスといった伝統のゲームは奥深く魅力的ですが、駒の動かし方を覚えるまでに時間がかかり、子供や初心者には少し遠い存在かもしれません。
また、テレビゲームも華やかで楽しいものですが、どうしても一人遊びになりやすく、人と人とが向かい合って心を通わせる場面は少なくなってしまいます。お年寄りがなかなか親しみにくいのも惜しいところです。
だからこそ願いました。
世代を超えて、子供も大人もお年寄りも、誰もがすぐに同じ盤を囲み、笑顔でつながることのできるゲームを。
その想いから誕生したのが「五竜陣」です。
ルールはシンプル、けれども竜のように奥深く、時に激しく、時に優しく、人と人を結びつけてくれる――。
どうか「五竜陣」が、竜たちが天へ駆けのぼるように、あなたと大切な人との心を結ぶきっかけとなりますように。
ボードゲーム「五竜陣」の特徴
第1 「ルールがとても簡単」
「自分のコマをつないで行って、相手の陣に深く入った方が勝ち」という、簡単なもので、禁じ手も2つだけです。
第2 「使い方が簡単に分かるコマの形」
「五竜陣」に使うコマは、棒のような形をしているので、直観的にコマの使い方が分かります。
第3 「陣形の考えを取り入れたゲーム」
つないでゆくコマは、自分の陣から5匹の竜のように相手の陣に上ってゆきます。
この5匹のチームワークによりいろいろな陣形をつくり、様々な戦術が使えるのです。